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かないみき 2003.04 「カナイミキズイヒツ.2」 かたちとなる欲望 |
JAMANIによって、つくられたモノたちがあり、それらをみるため、そして彼に会うた めに集まってくるヒトたちがいて、そこは無条件で暖かいスペースだった。 会場の隅では大きなテーブルを囲み、若者たちと、ひとりの初老の男性が語り合っている。 なんだか懐かしい、PRAHAらしい風景。 PRAHAは1988年にオープンしたアトリエ・スタジオ、ギャラリー・スペース、建築 事務所がはいった古い建物であり、閑静な住宅街に位置する。その昔は病院だった。 現在では建築、写真、音など様々なジャンルのクリエーターが活動している。 その住人たちのひとりでもあるJAMANIは、店の看板もつくる。演劇の美術もこなす。 スタジオで生活しながら制作をするというよりは、制作しながら生活をする。制作され るモノたちは、しかも、生活と結びついている。生活していくうえで、必要とされる ものが制作され、それらが今回の会場に列ぶ。 みる者に対してリアクションを強く迫ってこない彼の作品を、ひとつひとつ、じっくりと みてゆく作業がわたしを愉しませた。自らを「モノつくり」というJAMANIの、 職人的技術と、何でもつくってしまうその行動力。気持ち良く、感心させられる。 現在の多くの美術がコト−出来事−を作品にのせていくのとは対照的に、彼の作品は あくまでもモノである。この点において、「工芸」という言葉が浮かび上がる。 楽器、切り絵、いすやテーブル、皿、かんざし、指輪、人形。「欲しいと思うモノをつ くる」とJAMANIは言う。こうして彼の日々の欲望はつくりためられてゆく。アフリカの 置物のような作品や、モンゴルの代表的な民族楽器である馬頭琴(棹の上部に馬の 彫刻が施されている)が竜の頭になったものなど、これらは異文化への憧れだろうか。 切り絵に登場する「日本人」の女の子たちは、宇宙のような空間で、楽しげに微笑む。 こちらを見ながら、うつむきながら、眠りながら。優しく柔らかい雰囲気の彼女 たちは漂う。ヨーロッパの伝統工芸であり、薄い木を組み合わせて一枚の絵をつくる マーケタリーからヒントを得たこの作品には、切り抜かれた色画用紙が隙間なく組み 合わされることによって、凹凸は発生しない。平ら。こんなキーワードが出ると、 すぐさま村上隆の提唱する「アレ」が頭をよぎる。 市場で分配されるアート。インターネットを通じて情報は瞬時にながれ、操作される。 そして人々は囁きあい、噛みつきあう。札幌という地方都市で、そのゴツゴツと した指で、JAMANIはひたすらモノをつくりつづける。その過程に、思想的なものや戦 略的なものは何も見えてはこない。しかし、彼の内なる世界とでもいうのだろうか、 そんなものをわたしは会場いっぱいに感じとり、「何か」の根本的な意義を思った。 これから先も、彼はずっと工芸的なモノをつくりつづけるのだろうか。それとも、 欲望はかたちを変えてゆくのだろうか…。 |
| かないみき アートライター |
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