まわりの環境を巻き込むということ
報告 ロッパコ代表 宮嶋宏美

 今回の「民宿美術」は、私たちの活動のなかで、函館市の元町という地区でおこなう2度目の試みであった。1度目としているのは、2001年の夏に行った「ロッパコ展」で、今回と同じく歴史のある民家を一軒お借りし、その中の空間とまわりの環境をつかって、近隣にお住まいのかたに目にとめてもらうことを第一に意識して行った展覧会であった。

 自分達が現在(当時)中心的に活動を行っている
「札幌」という土地から、展覧会をおこなう、まったくもって知らない土地であると言ってよい「函館」での発表を考えた時に、「どれだけその場所から情報を得て作品に生かし、いかに「自分たち」を公開していくか」ということが重要だと考えて、会期3ヶ月前からのフリーペーパーの発行による情報の収拾・公開、2週間前後の滞在制作という「体験」を通しての制作活動を行うなどして計画を進めていった。

 今回の民宿美術は、同じ環境でおこなう2度目の試みということもあり、「ロッパコ展」の発展版でありたいと考えた。「元町」の外の環境で活動している人間が、「元町の民家」という環境を使って発表をおこなう、という要素に重要性を見い出すとすると、とくに札幌からのみのアプローチである必要性、「ロッパコ展」を行った人間のみでふたたび展覧会を行う必要性はまったくなく、むしろ多様な環境からの作家の多数参加を実現させたほうが展覧会全体にとっても、自分たちにとっても面白い結果を導けるのではないかと考えて、「民宿」という、数日間現場に宿泊(滞在)して、その場で作品を考案・制作・設置することがその宿泊料、というしくみをつくり、でてきたもので展覧会をつくりあげていく計画をすすめた。結果的に北海道外の土地からの参加も含めて20名前後の作家の参加を実現することができた


 しかし遠方からの参加者や、滞在スケジュールの日数の限界からほとんどの作家が短期間の滞在に留まらざるを得ない現実から、ロッパコメンバーから、参加作家に対しての情報の伝達の力量が問われた。また、2度目、ということからくる、多少なりとの情報を得ているという精神的な油断から地域への広報活動に不足を生じてしまい、近隣で生活している方を巻き込みきれない結果となった。そんななかでも、パフォーマンス作品をとおして、積極的にその場の環境の理解と使用を試みた作家や、「民宿美術」参加者をつかって期間中に作品を制作した作家、滞在することで、かたちとしての「作品」化するものではなく、近隣地域にアクションを起こした作家もおり、中途半端に「巻き込む」ことしかできず終わってしまった企画側としては、かえって勉強させていただいた。

 個人的に全体を振り返ってみれば、「まわりを巻き込んでいくこと」の難しさを思い知らされ、また、その可能性をあらためて発見させてもらった企画だったと思う。参加作家ならびに、ご宿泊客、ご来場客の皆様がたに、この場をかりて感謝の言葉をのべさせていただきたい。
ありがとうございました。今後また次の機会を目撃していただけたら幸いです。

2003.4.14